みなさんは幸せになりたいですか?
幸せになるには、なんだかんだ言ってお金がなくてはいけません。
でも、世の中にはあまりお金を持ってなくても幸せな人もいれば、お金をいっぱい持っていても不幸な人もいます。
なぜそんなことが起こるのか?ということを構造的に解き明かし、じゃあ自分が幸福になるためにはどのように行動していけばいいのかを教えてくれるのが、今回紹介する『幸福の「資本」論』です。
『幸福の「資本」論』を読んだ感想
この本のサブタイトルは『あなたの未来を決める「3つの資本」と「8つのパターン」』です。
この3つの資本が、お金と幸福の関係性を理解するのに必要です。
3つの資本とは
その3つの内容は
- 金融資産
- 人的資本
- 社会資本
です。
いきなり小難しい言葉が出てきましたね。
これらの言葉をもう少しわかりやすくすると、次のようになります。
- 金融資産 ➡ 財産
- 人的資本 ➡ 労働力
- 社会資本 ➡ 人とのつながり
なんだか、お金と幸せに関係しそうな感じに見えてきましたね。
8つの人生パターンとは
次に、サブタイトルの「8つのパターン」の話に移ります。
これが何かというと、金融資産(財産)・人的資本(労働力)・社会資本(人とのつながり)の有無で8つのパターンができあがります。
例えば、山田太郎さんは財産を1億円持っていますが、90代のお年寄りなので働くことはできず、孤独に暮らしています。
この場合、次のようになります。
- 金融資産 ➡ ある
- 人的資本 ➡ ない
- 社会資本 ➡ ない
この「ある or ない」の組み合わせが、全8パターンあるということです。
幸せの感じ方は人によって違うけど…
各パターンの説明は、話が長くなるので割愛します。
気になる方は、ぜひ読んでみてください。
「あ~!確かにそういうタイプの人、いるいる!」と納得しました。
財産があるか、働けるか、人とのつながりがあるかによって、幸福になれるかというのは個人差があります。
先ほど例に挙げた山田太郎さんは、お金だけ持ってる人のように見えますが、実は1人の時間がとても好きな人で実は幸せかもしれません。
ただ、1つ言えることは、財産もないし、働けないし、人とのつながりもない人は幸せになれない可能性が高い、ということです。
ですので幸せになるためにも、財産を増やし方・時代に合わせた効果的な働き方・幸せになれる人との関わり方を、1つずつ紹介しますよ~、というのがこの本の主旨です。
感想
ようやく本題。
この本を読んだ感想です。
財産(金融資産)の話は、著者の橘玲さんの本を何冊か読んだことがあったので、僕にとっては注目すべき内容はありませんでした。
といいましても、データを元に論理的でわかりやすい文章で説明してあるので
ですよねー!
と、納得する内容がほとんどでした。
それに、お金の話は、著者が過去の本で話し尽くしているからか、ページ数をあまり割いていない印象を受けました。
(276ページ中31ページ分のみ。)
それよりも、働き方・人とのつながり方についてはかなりのページ数を割いており、著者のモチベーションの高さがうかがえます。
印象に残った話の中でも、働き方の感想を書いていきます。
日本の働き方は時代遅れになっている
日本の会社は、年功序列・終身雇用を採用している会社が多いです。
しかし、1度会社に入ったらクビを切られないから安泰、というのも怪しくなってきています。
2019年にトヨタ自動車の豊田社長(当時)が
「なかなか終身雇用を守っていくというのは難しい局面に入ってきたのではないかと」
と、発言して注目を集めました。
トヨタ自動車といえば、時価総額が日本でブッチギリ1位の会社です。
日本トップ企業が、終身雇用を守ることは難しいというのですから、日本全体の雇用も雲行きも怪しくなってきた、と僕は感じました。
ところで、日本の会社はメンバーシップ型が多い、と言われています。
メンバーシップ型とは、カンタンに言うと人を中心とした組織です。
例えば、とある映画製作会社が「シン・ニャンコマン」という映画を作るとします。
その会社の中に、監督・脚本・技術スタッフなどが揃っていて、会社内の人材を使って映画を作ります。
会社に人材を集め、その人材で仕事を行うのがメンバーシップ型の特徴です。
それに対し、欧米の働き方はジョブ型が主流です。
ジョブ型は、仕事を中心とした組織です。
映画を作るのが仕事、つまりジョブです。
「シン・ワンコマン」を作ろうぜ!と発案した後に、監督・脚本・技術スタッフなどのスペシャリストをそれぞれ外注で集め、その映画を作り終わったら解散する。
これがジョブ型の働き方です。
一昔前は、日本のメンバーシップ型経営はうまく回っていたのですが、世の中の変化が激しくなったことで対応できなくなってきたのでしょう。
それが、日本トップ企業のトップの発言「終身雇用を守るのが難しい」という言葉に集約されている気がします。
どう働くのがいいのか?
では、変化の激しい現代をどう生き残ればいいかというと、この本の中では「好きなことに全ての時間を突っ込め」的なことが書かれています。
日本もメンバーシップ型からジョブ型に少しずつ変わっていくので、何でも屋よりも専門性の高い人が有利になるでしょう。
専門性を高めるには、かなりの時間を費やす必要があり、好きなことじゃないと続けられないよね~。
だから、好きなことに時間を使って専門性を高めるといいよ~、というのが、ざっくりした新しい働き方の提案です。
僕は、この案は気をつける必要がある、と思いました。
というのも、
- 好きなこと=快楽
- 好きなことをしていればお金を稼げる
- 人の役に立たなくてもいい
と、勘違いしやすいと思うからです。
例えば、ゲームが好きだからゲームをやっていれば生活費が稼げるようになるでしょうか?
僕は、ほとんどの人がムリだと思います。
- ゲームをやるのが好き
- ゲームの楽しさを伝えられる
- ゲームがうまい
というのは、それぞれ全然違う能力が必要です。
単にゲームをやるのが好きなだけでは、ライバルが多すぎてうまくいかないんじゃないかなぁ、というのが正直な感想です。
じゃあどうすればいいのかというと、
- 人の役に立つ
- 他の人はあまり好きじゃない
というもので、自分に当てはまるものあれば仕事になりやすいと思いました。
(例えば、掃除が好きなど)
将来は悪くなる?
「好きなことに時間を全投入することで、専門性が高まり仕事になる」には、同意です。
ただ、全投入するには大きなリスクがあります。
それでうまくいくか分かりませんし、全然うまくいかないかもしれません。
ですが、時代は好む・好まないに関わらず、どんどん変化していきます。
時代と共に変化した人が生き残り、変わらない人が衰退するという未来もあると思います。
逆に、変化しなかった方が良かったというパターンもあると思います。
(新しく始めたことがうまくいく確率よりも、今やってることが来年もうまくいく確率の方が高い、と僕は思います。)
お金や将来が心配で、今回紹介した本を手に取る・取った方が多いかもしれません。
ただ、1つ言えることは、将来をそんなに悲観する必要はないと思います。
30年前よりも今年の方が便利で暮らしやすくなっているので、30年後はもっといい世の中になってると思います。
(30年前は、携帯電話すらろくに普及してなかったです。)
なので、そんなに思い悩まず「自分の好きなことって何かなぁ」「好きなことで誰かの役に立てないかなぁ?」と軽い気持ちで取り組んでいけばいいのではないでしょうか。
以上、参考になれば幸いです。